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認知症の疑いのある高齢者に対する取り組み

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デイサービスに行きたくない方を家族が無理やり連れて行くとどうなるのか?認知症の疑いのある高齢者に対する取り組み(脳活性化型デイサービスをご利用いただくまでの経緯とご利用後の様子)をお伝えしたいと思います。


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事業所の紹介(脳活性化型デイサービス)

  1. 施設内の常勤職員だけでなく、送迎ドライバーまでもが「認知症サポーター」です。
  2. 私たちは認知症を理解することで、ご利用者様に対し、尊厳を傷つけない対応を徹底しています。
  3. 私たちには認知症の進行をとどめるだけでなく、現状よりも良い状態にしたい」という前向きな想いがあります。そのため、『共感を大切にした会話』『生活の質を高めること』『脳リハビリを行うこと』を実践し、これら3つの相互作用によって認知症の予防に取り組んでいます。
  4. 認知症の重度化を予防するために、「鍛える」というよりも、まずは凝り固まった体をほぐことを第一に考えた、無理のない「体操」を数回に分けて、計90分間行っています。それにより、体全体はもちろん、脳の血流量の増加を目指します。
  5. 脳血流を促進させるためのさまざまなアプリゲーム(脳トレ)をタブレット(iPadなど)を使って実施しています。


検証

デイサービスに行きたくない方を家族が無理やり連れて行くとどうなるのか?


ケース

●対象者:88歳(女性) 

●介護度:要介護1

●家族構成:娘、孫との3人暮らし

●既往歴

平成19年 PTSD、パニック障害を発症(ご主人を亡くされる)
平成22年 胸椎圧迫骨折、骨粗鬆症
平成24年度から認知症の疑い

【厚生労働省HP】

●生活歴・職歴

小学校で3年ほど教鞭を執り、その後結婚してから家庭に入り、1人の娘がいる。ご主人は5年前に亡くなられてからは娘の家で生活している。

●性格

陽気な性格だが、頑張りすぎてしまうところがあり、人が集まる場所に行くと疲れてしまうため、家からはほとんど出ない生活を送っている。平成23年度ごろからは、ADLの低下と共に、認知症の症状が出始める(娘様談)。家では家事全般はご家族がされ、家では寝ていることが多く、外出は月に1度程度。他者との交流が少なく、人と接することがないため、社会性がなくなってきている。


デイサービスを利用するまでの経緯

平成24年4月13日:御家族デイサービスを訪問

娘様が、車で近くを通りかかり、スタッフに話を聞いて、「うちの母には、普通のデイサービスでは難しいので、運動と、iPadを触るのは合っていると思います。是非お願いします。」と言われ、スタッフが、一度ご本人に、どんなことをするのか、ご説明に伺いますとご案内すると、「そんなことは必要ありません。無理にでも連れてきます」と言われ、2日後に体験の予約をいただく。


平成24年4月16日:体験初日

体験の当日、お電話をして、お家に伺うと、家の中から大声でわめき声が聞こえる。

  • 娘:「早く行きなさい!」 
  • 本人:「嫌や、行きたくない!!」
  • 娘:「スタッフの人が迎えに来ているでしょうが。早く行きなさい。」
  • 本人:「お腹が痛い。今日は家から出たくない。」


そんな声が聞こえ、数分後娘様が玄関から出てきて、「今日はお腹が痛いようなので、別の日にしてください」と話される。その場で体験の日程を、変更する。


平成24年4月19日:体験2回目

2回目の体験。当日お電話をして、娘様から「本日は本人が行くと言っていますので、お願いします」と連絡がある。家に着き、チャイムを押すと、中からまたわめき声がする。

  • 娘:「早く行きなさい」
  • 本人:「嫌や、行きたくない!!」
  • 娘:「スタッフの人が迎えに来ているでしょうが。早く行きなさい。」
  • 本人:「わかったから。もううるさい!!」


家の扉が開くと、本人が、大声で「キィー」とこちらを威嚇される。その後、車に乗られ、実際に体験を受けていただく。(後に、なぜあの時に、「キィーと大声を出されたんですか?と本人に伺うと、最初に一発かましていると、大切に扱ってくれると思って」と言われる。)


平成24年4月20日:利用申し込み

娘様から、昨日参加して、母が大変楽しかったと言っています。是非利用させてくださいと申し込みをいただく。


平成24年4月23日:本人宅にて、契約に伺う

その際に、まずは普段外出されていないので、週1回の利用から始めましょうと説明すると、お孫さんが、本人のいる前で・・・

  • 孫:「毎日でも行ってくれたら、嬉しいのに。もうそのまま帰って来なくてもいいのに。」
  • 娘:「そうよ、お母様も頑張って毎日でも行けばいいのよ。」
  • 本人:「あんたたちは、他人事やと思って。」と言われ、


こちらが困惑していると、娘様から、「これが我が家のブラックジョークなので、気になされないでください。いつもこんな風な感じなので。」と言われる。


デイサービスの利用開始

平成24年4月26日:利用開始

当日送迎に伺うと、中からわめき声が聞こえる。

  • 娘:「早くしなさい」
  • 本人:「嫌やー! 行きたくない!」
  • 娘:「スタッフの人が来ているでしょ。早くしなさい。」


本人がしぶしぶ出てくると、娘様がスタッフに、「これは我が家のセレモニーなので、毎回こうなると思いますが、気にしないでください」と言われる。施設に到着後は、スタッフにご本人が、「娘につまみ出されました」と言われる。スタッフが本人に、「無理して来なくてもいいですよ。こちらの施設は、皆さんご本人の意思で来られているので、無理をしないでいいですよ!」と伝えると、本人が 「みんな自分の意思で来ているんですか!?へー!!みんな無理やり連れてこられているのかと思っていました」と言われる。


  • 娘:「お母さんがそんなことを言うから、私が無理やり連れてきているみたいでしょうが」と言われる。


その後、2週に1回のペースで継続してその後通われる。


平成24年5月24日:認知症の検査

娘様から連絡があり、母の認知症が気になり、認知症を調べる物忘れ外来に連れて行って、いろいろとテストをしたんですが、それ以来、本人がショックを受けて、「私は認知症なんだわ。」と思い込むようになり、2日間のテストを1日だけしか受けられず、そのまま家にこもるようになり、それから急激に認知症が進んだような気がしますと言われる。

  • 娘 「パッチをはったり、いろいろと試しているんですが、効果が出ているようには思えません。」と言われる。そして「何も長続きしなかったのが、なぜかデイサービスに行くと、落ち着いて、楽しかったと言っている。何とかできないでしょうか?」とスタッフに相談される。


スタッフから、「本人様が来られると、誰よりもリラックスされて帰られるんです。」と伝えると・・・

  • 娘:「あの母がリラックスをしているなんて信じられないです。」
  • スタッフ:「うちの施設のモットーは、【褒める】【認める】【話する】を徹底して行っています。」「ご本人様が認知症かどうかはわかりませんが、認知症ケアで大切なのは、褒めて、認めて、話をすることなんです。決して、責めたり、強制したり、ブラックジョークを言うことではないんです」「もし今まで何も長続きしなかったお母さんが、続けられているとすれば、それが要因ではないでしょうか?」と伝える。
  • 娘:「では私はどうすればいいんでしょうか?」
  • スタッフ:「お家で褒めてあげてください。どんなことでもいいです。小さい事でも大丈夫です。」「それともう一つ、今まで娘様が間に入って頂いて、話していましたが、今後は、ご本人さんと相談して、話をできないでしょうか?」「ご家族の意思ではなく、出来るだけ、本人の意思で通っていただきたいので。」
  • 娘:「わかりました。一度そのようにしてみます。」


平成24年6月14日:本人が、3週間ぶりに来られる

  • 本人:「今日もつまみだされました。」
  • スタッフ:「無理しなくてもいいですよ。しんどい時は休んでください。」
  • 本人:「それを娘にも言って欲しいわ。」
  • スタッフ:「私からも伝えておきますね。本当にしんどい時は休んでください。無理しないでいいですからね」と伝える。


平成24年6月28日:体力がついてくる

本人から、「今までここに来ていたら、次の日はバタッと倒れていたのが、最近は倒れなくなってきました。体力がついてきたのかしら。あんな「ゆるい体操」だけなのに結構運動になっているんですね」と言われる。


平成24年7月5日:笑顔で来られる

施設に来ると、いつもは、「今日もつまみ出された」と毎回言われていたのが、この日だけは言われないで、スタッフと談笑される。


平成24年7月12日:犬の友達ができる

たまたま隣の席に座っていた利用者さんに、犬の話で盛り上がり、「娘はうるさいが、一番可愛いのは、犬やわ。」と話される。家に帰ってからも、ワンちゃんの好きな人と仲良くなったと話をされ、とても楽しかったと娘さんに話される。


平成24年7月19日:意欲が出る

本人から、「最近意欲が出てきた」と言われる。スタッフが「具体的にどんなことがありましたか?」と質問をすると、本人が、「意欲は意欲よ。何て説明をしていいのかわからないが、とにかく意欲が出てきた。」と言われる。スタッフが「お家で新しく何かされるようになったことはありますか?」と質問をすると、本人が「家でNHKの英語の番組で、英語の書き取りをするようになったの。私英語が好きだから」と笑顔で言われる。


当日、スタッフが娘様に電話で、本人様が意欲が出てきたと言われたこと、英語で書き取りをされていることを伝えると、大変驚かれる。


娘様から、「曜日の感覚がないので、それをなんとかできないでしょうか?」と相談を受け、スタッフが、「ご本人様に、カレンダーでデイサービスに来る日を丸をしてもらって、ご自分で管理してもらったらどうでしょう?」と伝えると、娘様が「是非やってみます」といわれる。


平成24年7月30日:曜日の感覚が戻る

娘様から電話があり、最近本人が「明日はデイサービスに行く日やなー。本当に行かなだめかな?」と私に言ってくるようになりました。今まで、曜日の感覚がなかったのに、そんなことを本人が言ったので、とても嬉しいですといわれる。高齢のため、家から出るのはしんどいようですが、本人も楽しみにしているようです。


平成24年8月9日:習い事を始める

娘様から、「母が最近習い事をもう一つ増やして、民謡を歌うのを始めました」と言われる。最初は音痴のため、なかなか本人も渋っていたのが、褒めてあげることで、少しづつ乗り気になり、ようやく1つの曲を歌えるようになってきましたと言われる。私はついつい、ブラックジョークを言う癖があり、自分でも悪いと思っているんですが・・・。また気がついたことがあれば、教えていただけますか?今後ともよろしくお願いします」と言われる。その後、週に1回ペースで、通われております。


重要ポイント

  1. 本人の意思で通うこと:家族の意思で無理やり連れてきても、なかなか長続きがしない。決定ではなく、ご本人と相談の上、進めていくこと。
  2. 褒めること:認知症ケアにおいて、ブラックジョークを使うのではなく、できるだけ褒めること。
  3. できる能力を奪わない:ご家族が、よかれと思ってする行為が、できる能力を奪ってしまう可能性がある。自分でできることは、自分で行ってもらう。(カレンダー)


おわりに

現在このご利用者様は週1、2回のペースでデイサービスをご利用されています。



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